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ERC(教育リソースセンター)

 

 ERC委員会ではこれまでに、学校とNPO等の外部機関との協働を促進するための調査活動に取り組み、その結果をリーフレットにまとめました(こちらからご覧いただけます)。ここでは、「教育協働のツボ」をより深く探っていくため、リーフレットにも登場した兵庫県立兵庫高等学校「創造基礎」に携わった学校教員と行政職員の方に実施したインタビューを掲載しました。リーフレットでは触れられなかった「〈ツボ〉を押さえるための視点」のヒントが随所に見られます。ぜひご一読ください!

 

 

(話し手)兵庫県立兵庫高等学校教諭 大前 吉史先生、神戸市長田区役所まちづくり課長 西 修さん
(聞き手)シチズンシップ共育企画 鈴木陵
※所属はインタビュー当時(2012年11月)のものです

アイデアを共有し、一緒に授業をつくる
まずお二人について伺いたいのですが、「創造基礎」でご一緒される前からお知り合いだったのでしょうか?
西 : いえ、大前先生からご連絡をいただいてコンタクトをとったことが最初でした。
大前: そうですね。私から連絡しました。まず行政の方の協力が必要だと考え、まちづくり課の課長の西さんに声をかけさせていただきました。
なるほど。授業をきっかけに出会われたとのことですが、授業内容はどのようにして決めていかれたのでしょうか?
大前: 私としてはやりたいことが明確にあったのですが、個人の想いだけでなく、アイデアはお話ししつつも、「何ができそうか」について意見交換を重ねていきました。その過程の中で、私自身も地域事情を理解していきながら授業内容を組み立てられたように思います。
具体的な事実を伝え、生徒の疑問を受けとめる
西さんは、学習のスタートダッシュとも言える「まちの課題を聞く」という時間の話題提供を担当されていました。ここで特に意識されたことはありますか?
西 : なるべく具体的な数字を交えながら、生徒に「10代の出産率の高さ」や「長田区の少子高齢化」などの課題が伝わるよう工夫しました。そこから「なぜ…?」という疑問が生徒から出て来たら、それをきちんと受け止めることを強く意識していました。
まちの課題を抽象的にではなく、具体的に伝えるということですね。
大前: そうやって話を聞いた後はディスカッションを通じて生徒自身が抱いた疑問を掘り下げていきます。最終的には「自分が関わるなら、どの課題(テーマ)に関わりたいか、自分にできそうなことは何か」を考えてもらうのですが、大切にしていたのは「とことん探究する」ということです。
「とことん探究する」というと、どういうことでしょうか。
大前:
「自分たちに何ができるか」という問いに答えていくと、一見すると突飛なアイデアも出てきます。「そんなの無理だろう」と言ってしまうのではなく「何とかして形にできないか」と、支える側も一緒に考え、可能性を模索する姿勢が大切だと思います。
地域のニーズに合わないことはしない
テーマが決まれば、生徒は各々のフィールドワーク先で何らかの活動に参加・参画するわけですが、ここで生徒が体験する活動ボリュームや担う役割の設定など、コーディネートが本当に絶妙にされていると感じます。何か秘訣はあったのでしょうか?
西 : 地域の方に協力をお願いする場合も、まずは私たち区役所から話を通すことが多かったです。
大前: そうすることで、授業内容を理解していただき、信頼していただいた部分はありますね(笑)。
なるほど、最初の段階で地域の方に安心感が生まれていたのかもしれませんね。他に意識されていたことはあるのでしょうか?
大前: 「地域のニーズに合わないことはしない」ということでしょうか。地域の現状をしっかりと理解した上で活動することを心がけました。地域が学校に付き合わされてしまうような状況はつくりたくありませんでした。一方で、生徒が単なる地域のお手伝いになってしまわないように意識もしました。地域の方や区役所の方によく話を聞いて、地域/生徒の双方にとってプラスになる部分を探しました。区役所の方からも「この活動にこう関わってみることはできるんじゃないか」と提案をいただいたりしましたね。
生徒だけではなく、地域の方の目線にも立ってプログラムが組まれているんですね。一方、生徒がまちに出るにあたって、何か事前に取り組まれたことはありますか?
大前: 話を聞きに行く場合は質問項目を事前に整理しておく、話を聞いた後は結果をきちんとお返しするなど、学校外の方と接するにあたって求められる基本的な事柄や礼儀作法については、まちに出る前にきちんと学ぶ機会をつくりました。
地域からの信頼を、活動と学習の過程の中で得ていく
こうした学習活動はよく「こういうことをやったほうがいいと思います」といった「提案」で終わるパターンが多い中、「創造基礎」では実践に移すという部分も大きな特徴だと感じます。実際にまちの中で生徒が行動を起こしていく流れは、どのようにして実現したのでしょうか?
大前: やはり、生徒と地域の方との関係性が深まっていったという面が大きいと感じています。例えば夏祭りの実行委員会のスタッフとして動いたチームは、役割を担いながら動くことを通じて地域の方からの信頼を得ていきました。そうした関係の基盤があったからこそ、「こういうことをやってみたい」という思いが生徒に出てきた時に、提案や実行がしやすかったのだと思います。
なるほど。取り組みを通じて、地域の方々との間に信頼関係が生まれていったんですね。
大前: 兵庫高等学校のOBOGが地域に多く、「兵庫高校生が活動するなら応援しよう」という雰囲気があるのも強みだったと言えるでしょう。
西 : ちょうど区役所内でも、長田区は神戸市内9区のうちで最も高等学校が多いにも関わらず、「高校生がまちなかに出て来ない」という議論がありました。大前先生からお話をいただいた時も、共通する課題意識があったのだと思います。
大前: 学校側の事情としては、「総合科学類型」が設置されて教員が業務の一環としてこうした実践的な学習に取り組みやすい環境が比較的整っていたと言えます。
地域/行政/学校それぞれの状況として、こうした実践を後押しする環境にあったのかもしれませんね。こうした教育協働の実践を「そのまま」他地域に持ち込むことは難しいかもしれませんが、今日お話を聞く中で見えてきた「協働のエッセンス」を押さえつつ、他地域の事情に即した形で広めていくことができればと思います。本日はありがとうございました!

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