新年のご挨拶「『まとまらない声』が現れる場」

 明けましておめでとうございます。
2026年の年頭に当たり,謹んで新年のご挨拶を申しあげます。

 対話とは複数人で粘土遊びをしているようなものではないかと最近考えています。対話の場では,誰かが発した「まとまらない声」を受けとめた人が「それって,こういうこと?」「いや,こういうことじゃない?」「あの人の話とつながるんじゃないかな?」とやりとりして,願い/思い/考えを明らかにしながら,全体に組み込んでいくことが起こります。このような光景は,粘土をみんなで集めたりこねたりして,土の固まりから思いもよらない形を出現させる流れと重ね合わせられるように思われます。

 多くの話し合いの場では,伝わるように整えられた「まとまった声」を発することが求められます。そうすれば確かに効率的になります。しかし,「まとまらない声」の中には,新たな道を見いだす手がかりが含まれている場合があります。既定の枠からはみ出している部分がまとまらなさを生んでいることがあるからです。「まとまらない声」を発話者が独りでまとめるだけではなく,場全体でまとめあげることも選択肢に入れることで,グループの可能性はより一層発揮されていくでしょう。

 大切なことを話し合う時には,「まとまらない声」が現れる場となる態度/余裕/工夫が求められるのではないでしょうか。粘土遊びは試行錯誤の過程に楽しさが詰まっています。その楽しさを味わう感覚で対話に臨むことができる人物をこれからも育んでいきたいものです。

2026年 元旦
シチズンシップ共育企画
代表 川中 大輔